「幸せの形」は人それぞれ。波があっても、それでいい―西 一恵さん

「女性はいつかは結婚して子供を産んで、パートタイムで働く」

世間にはこういった「女性の幸せの形」がいまだに残っていて、それが当たり前だと思いがちです。

CAとして働いていた西 一恵さんもそう思っていた一人。

ですが、結婚や転職といった機会を通して社会の「幸せの形」から自分の「幸せの形」を模索していったと言います。

人それぞれであるはずの「幸せの形」を自分の力で作っていく。

その西さんの人生のプロセスを追いました。


<Profile>

西 一恵

航空会社の予約センターを経て、国内線の客室乗務員に。その後結婚し、英語教育のベンチャー会社に転職。新規事業の人材紹介業にも参画。現在はフリーランスになり、CA向けのオンラインサロンを運営しながら、CAのキャリア支援を模索中。


CAという目標をかなえてから「あとは結婚して…。」という社会の幸せ観にギャップを感じた。


―西さんはなぜCAになりたかったんですか?

中学生の時、得意な教科が英語だったんです。なので英語を使ったお仕事をしてみたいなと思っていました。ある時、図書館で「CAになるための本」というのも見つけたんです。その本を読んで「CAなら英語も使えるし、世界いろんな所行けるやん!」と思い、CAになりたいと思い立ったんです。


―カスタマーセンター勤務を経て、CAさんに転職されたころ、今のパートナーと出会ったと伺っています。その頃は「CAのあとは結婚して子供産んでパートタイムで働く」というようなキャリアをイメージされていたんですか?

そうですね。CAになると2~3年後に客室責任者の資格を取るようになります。だけど、その後はキャリア目標を立てて達成する機会がないんですよね。あと、当時CAは3年契約の契約社員でした。その後正社員になることもできたんですけど、そこまで頑張りたくないなという想いも強かった気がします。周りも合コンに行ったりと出会いを求めていましたね(笑)。周りの雰囲気も結婚して子供ができて、寿退社か産休を取ってそのままゆるめに仕事を続けるか…。みたいなルートが自然とできていたような気がします。私もその流れに乗ったら楽だろうなという感じでしたね。


―そもそも西さんは結婚願望があったんですか?

結婚願望があったというよりは、結婚はするものだと思っていましたね。結婚して子供産むことが普通でしょって考え方でした。周りも同じ価値観の人が多かったので、結婚して子供を産んで家庭を作ることこそが幸せなんだと思っていたと思います。


―西さん自身もそのルートに沿っていくんだろうなと思っていた矢先…。30歳で彼氏さんに振られてしまうと。それが自分のキャリアを考えるきっかけになったと伺いました。

そうなんです。振られてしまった後、すぐ婚活を始めました。婚活アプリや街コンなどだいたい経験しましたね(笑)。だけど全然この人だ!と思える人に出会わなかったんです。会社の同僚たちの中も、結婚して子供ができて幸せそうな人もいれば、結婚生活に苦しむ人もいて。結婚した後が必ずしも幸せにはつながってこないんだなと少し現実的に捉えられるようになってきて、「自分って結婚したいのかな?」という疑問がわきました。

その頃、会社では当時の上司に引き上げてもらい、いろんな挑戦をさせてもらえるようになっていました。例えば、同期よりも少し早くチームリーダーになったり、海外出張に行かせてもらったりしていました。それが意外と楽しくて、「自分って意外とバリバリ仕事するのが好きなのかもしれない」と気づき始めましたね。この変化を受けて、「自分このまま結婚できなくても自分のこと養っていけるのでは?」という道筋が頭に浮かんだんです。それからはとても気持ちが楽になりましたね。


―その後、前の彼氏さんとまたお付き合いされるようになりますが、一度離れてみて、西さんの結婚観は変わりましたか?

そうですね。結婚したらこの人についていく!みたいに考えていたのですが、自分の仕事もうまくいき経済的に自立したことで、養われる存在ではなく、自分がパートナーを養えるみたいな強さを持っていたいと思うようになりました。ほしいものがあれば自分で買えばいいし、指輪もあればうれしいかなくらいに思っていました。

ドラマとかで出てくる主婦と働き盛りの夫という仲いい夫婦像もすごく憧れます。ですが、結婚って実際は他人同士が生活を共にするということなんですよね。だから、どちらかが足を引っ張る、養われる存在ではなく、お互いが程よい距離間で支えあえる関係がいいなと思えるようになりました。人によってはそれは寂しいという人もいるんですけど(笑)


「幸せ」の尺度は人それぞれ。自分のあった形を探しながら、アクセルとブレーキを踏み分けていく。


―ご結婚されて、今までとは業界の違うベンチャー企業に転職されていますが、転職しようとおもったきっかけはなんですか?

CAってどこまでキャリアアップしても「客室部」から外に出ることが出来ないので、キャリアの先がある程度見えてしまっているんですね。だから、もっと外の世界に出てみたいと思っていました。

そんな時、ビジネスパーソン向けに英語学習をコンサルするベンチャー企業を見つけたんです。私もともと英語が好きでしたし、会社で人材育成に関わっていた経験から、人の成長をサポートできる仕事っていいなと思い、転職することにしました。


―その後転職し、新規事業の立ち上げとかにも関わっていらっしゃったそうですが、苦労したと伺いました。

はい。立ち上げ自体はその過程の中ですごく学びがあったり、いろんな会社を回ることが出来てすごく面白かったです。ただ、新規事業の売上がなかなか伸びてこなかったんですね。経営側から求められる数字が全く達成できない自分がいて。当初事業チームは副社長と私しかいなかったので、私ができていないと感じてしまい、気持ちが追い詰められていきました。


―その後、フリーランスに転職されますが、抵抗はなかったですか?

少しありましたね。人材事業に関わっている時にたくさんの履歴書をみていたんですけど、企業ってフリーランスで活動していた人や、ジョブホッパーといったキャリアにブランクがある人にすごく厳しいんですよね。キャリアにブランクが開いていると心身での病気などを疑われて、自分の会社で継続的に働いていけるのかという疑問を持たれてしまう。だから、自分のキャリアにブランクが開いてしまうことは少し怖かったです。

ですが、一旦フリーランスの世界に飛び込んでみると、いろんな人がいてとても面白いんですよ。10年間専業主婦をした後にバリバリキャリアウーマンとして働いてる方や、20年勤めた会社を一念発起して辞めて自由な働き方を選んでいる方など、と出会えました。。そういう方にさっきの履歴書の話しをすると、「そんなの全然気にしなくていい」と背中を押してくれて、少し安心しましたね。

今までは私の中で自然と「有名な企業に行かなきゃ」「メガベンチャーに行かなきゃ」みたいな考え方になっていました。ですが、フリーランスになってみて、自分の生活に合わせて仕事も選んでいけばいいんじゃないかと考えるようになりました。


―仕事あっての生活から、生活あっての仕事へと変化していったと?

そうですね。その働き方も波があると思っていて。仕事が楽しくてバリバリ働く時期もあれば、収入を最低限にして生活を大事にする時期もあっていいと思うんです。キャリアってアクセルとブレーキを上手く使い分けながら作っていけばいいのかなと思っています。

最近「LIFE SHIFT」っていう本も出ていますが、人生100年時代、ずっとアクセル踏みっぱなしってすごくしんどいと思うんです。だから、アクセルを踏んでいる時もあれば、学び直しの期間を作ってみたりするのもいいかなと思っています。


―なるほど。西さんは今CAさん向けのオンラインサロンを運営されていると伺っています。オンラインサロンを通してこれからやってみたいことはありますか?

実現するかはわからないけど、今オンラインサロンに入ってくれている方達と一緒にCAさん向けのキャリアサービスを立ち上げたいですね。CAはよく「自分の職業は接客業しか通用しない」と悩みがちです。だから、エクセルとかパワーポイントとかのITの知識をインプットしつつ、一緒に何かプロジェクトを立ち上げることをアウトプットの場として提供したらどうかなと思っています。


―西さんは「幸せの形は人それぞれだと思う。だから自分自身を理解することがとても大切だと思っている」と伺いました。ですが、自分を理解することってなかなか難しいですよね。西さんはどうやって自分を見つめていらっしゃいますか?

自分でやってみてフィードバックをもらうことの繰り返しだと思います。自分で「私はどういう人なのか」を頭で考えすぎてもなにも深まらないと思うんですよね。だから、新しいことをしつつ、やってみて自分がどう思ったのか、そして周りから見て自分はどう見えたのかを聞いてみるといいかなと思います。そのサイクルを回していくことが必要かなと思いますね。


―西さんのお話を聞いていて、どんどん自分の足で立っていくプロセスがとてもすてきだなと思いました。自分で自分の人生を作っていく中で大切にしていることはありますか?

まあ、健康ですね(笑)。自分がやりたいことをやる時に一番大切な資本なので。あとは自分が挑戦した後に、独りよがりではなく人にいい影響を与えられると、とてもいいなと思います。


インタビュー・執筆/外村祐理子

編集補助/カラムーチョ伊地知

ニソクノワラジ

『働きながら、自分の生き方、居場所を模索する方々に、勇気をー。』 仕事をしながらでも、創り、表現をして、アイデンティティを世の中に発信し続ける複業クリエイターやアーティスト達。仕事をしながらでも、自分の居場所を見つけるために、日常の中で模索する社会人たち。ニソクノワラジは、仕事と創作活動、表現活動の両立に悩んでいる方などに 「仕事をしながらでも自分の居場所は作れるというメッセージを伝えます。

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