これからの時代、幸せの価値基準は”希少性”になる。―青木純也さん

今回インタビューを行ったのは、相談に特化したスキルシェアリングサービス「e-ful」を創業した青木純也さん。

昔から人の話を聞くのが好きだったことから、心理学の道に進んだ青木さん。

青木さんは周りの人や自分と対話する中で「物事は捉え方次第で幸福にも不幸にもなれる」ことを見つけたんだそう。

コロナなどで不安な空気が広がる中、自分の身の回りにある幸せを見つける方法とは?

学生起業家の“幸福”についてお伺いしました。


<profile>

青木純也さん

1999年兵家県宝塚市生まれ。2017年京都大学総合人間学部へ入学し、現在在学中。2020年カウンセリングやコーチングなど「相談」に特化したスキルシェアリングサービス「e-ful」を創業。


物事とは常に中立的で、”幸せ”は物事ではなく人間側がどう捉えるのかの問題なんです。


―青木さんが今、どんな時に”幸福”を感じますか?

友達や知人の悩みを聞いて対話して、相手から「救われた」と言われた時ですね。僕としては、単純に話が聞くのが好きなんです(笑)

話を聞くだけでも感謝してもらえるんだな、と、ちょっと驚きでもありますね。


―青木さんは昔から人の話を聞いたり、相談を受けることが好きだったんですか?

そうですね。でも、いつ頃から話を聞くのが好きになったのか、はっきりとは覚えてないんです。でも、小学校の時に通っていた塾の国語の授業で「聞き上手の方がいい」という内容の文章を読んだんです。幼いながら、それに感銘を受けて、相手の話をよく聞くようになりました。

高校生になったら、自分から人の話を積極的に聞いていて、将来は「なんでも相談室」のようなものを開いて、人の話を聞きながら過ごしたいなあ、と思っていました。今思うと、ちょっと大人びた高校生だったのかもしれないですね。


―青木さんが生きづらさを感じていた時期はありますか?

僕は中学1年生の時に担任の先生や親から「京大を目指しなさい」と言われてきたんです。学校も(自称?)進学校に進みました。でも、自分としては勉強する意味がわからなかったんです。ゴールも何も見えない状態で、当時は勉強をやらされることに生きづらさを感じていました。親の言うことを聞かずに反抗ばっかりしていましたね(笑)。

だけど、ある時から「勉強は結局、自分のためにやっているんだ」と思えるようになったんです。頭の切り替えができると、勉強が楽になったし、こんなにいい環境ないなと思うようになりました。高校時代は19時まで学校で勉強しているような生活だったのですが、「19時まで勉強させられる」と受動的な態度だったのが「19時まで自分のためにサポートしてくれる」という考え方に変わりました。

あとは、勉強を通して先生と1対1で対話することで、大人と立場が対等になった気がしました。


―対等、ですか。

先生や大人って集団になると高圧的になるんですが、個人として対話すると、世代や価値観の違いを超えて心と心で繋がれた気がしたんです。先生もただの同じ人間なんだって思えて、楽になりました。


―学生時代を通じて、物事に対する捉え方の変化が起きたんですね。

そうですね。「幸せとは自分の認知によって起こるもの」だと思うようになりました。

「幸せ」や「不幸せ」があるのではなく、人間がそう捉えているんです。例えば、コップに半分の水が入っている時、「半分もある」と思えば満足感がありますが、「半分しかない」と思うと不幸に聞こえますよね。つまり、物事とは常に中立的で、”幸せ”は物事ではなく人間側がどう捉えるのかの問題なんです。

人間はもともと不幸せではない、ということに気づいたんです。ある事象に対して、同じ条件が揃っても、人によってその事象を「幸せだ」と捉える人もいれば「不幸せだ」だと捉える人もいますよね。解釈は人それぞれ自由なので、それなら好きに捉えて生きていこうって思うようになりました。


悩みを消してしまうのではなく、それに対して自分がどう折り合いをつけて、悩みに寄り添っていくのかが大事。

―青木さんが人と対話することによって感じる幸せってなんでしょうか?

人と分かり合えていると実感することですかね。例えば、SNSは人との繋がりを感じられるけど、分かり合えるまではなかなか実感できないですよね。


―「SNS依存」という言葉があるように、SNSでの繋がりで”幸福”を掴もうとする人もいますよね。

ええ。だけど、僕はそれが果たして”幸福な状態”なのかな、と疑問に思うんです。

今、僕が関わっているコーチングやカウンセリングでも、依存や執着はあまり良いことだとは思われていないんです。例えば、カウンセリングでクライアントが「先生の言葉は絶対に信じる」といった状態になることがあります。しかし、カウンセリングやコーチングは、本来「自分で考えて決める」ということが大切なので、「先生の言葉」に”依存”や”執着”してしまうことは、あまりいい状態ではないんです。


―なるほど。そこで、カウンセリングやコーチングが役立つんですね。

そうですね。最近はコーチングを学ぶ人が増えていますが、いい傾向ですよね。コーチングは受ける人のモチベーションを上げて、ポジティブに目標に向かえるように質問を投げかける仕事です。コーチングを学べば、実は自分に対してもコーチングできるようになるんですよね。

だから、e-fulを通じてコーチングができる人とコーチングを受けたい人をつなげていきたいと思っています。。

 

―実際にe-fulを作るにあたって、周りからはどんな反応がありましたか?

背中を押してもらっています。応援してくださる方は明るくて優秀な方ばかりなので、一見、精神的に苦労したようには感じられないんですよね。でも、みなさん、人生のどこかで生きづらさ、を感じて苦しんだ経験を持っている。だから共感してくれるんじゃないかな、と。

心理学的には人の悩みが尽きないのは、本来ごく自然なことです。人間は本来、心配性な生き物だから、リスクを避けて今まで生き延びることが出来たし、劣等感があったからここまで世界を発展させることが出来た。だから、悩みを消してしまうのではなく、それに対して自分がどう折り合いをつけて、悩みに寄り添っていくか。それが大事だと思っています。


これから失われていくもの、少なくなっていくものの中に、”幸せ”についての答えが出てくる。


―日本では30~40代を転換点に、上と下の世代で幸福観に大きな違いがあるのかな、と思うのですが、青木さんはどう思われていますか?

確かに。幸福観は国の発展や経済成長と密接に関わっていると思います。それは自然なことで、私たちの祖父母世代は、モノを得て消費することが「幸せ」につながっていた。でも、僕の親たち世代はバブルを経験し、そしてバブルの崩壊も経験した。モノは簡単にこの世から失われる、という価値観が生まれたんです。それは大きなきっかけだったんじゃないでしょうか。その後、私たちの世代は生まれた時からモノに溢れている中で育ったので、消費に対してあまり喜びを感じることはなく、むしろ目に見えない体験など無形のモノに「幸せ」を感じるようになりました。つまり、これからの時代、幸せの価値基準になるのは”希少性”になっていくのではないかな、と考えています。


―”希少性”とは、具体的にはどういうことでしょうか?

最近、結婚する人が増加傾向にあるらしいんです。それって、現代の薄いつながりが多い中で、少しでも深くつながりたいという欲求からだと思うんです。現代は深いつながりに価値が生まれるんじゃないかな、と。あと、コロナになったことでオンライン化が進み、膝を突き合わせて深い対話をする機会は確実に少なくなっていくと思います。だから、誰かと直接対話することに「幸せ」を見出す若者が増えてくるだろうと予想しています。

これからの「幸せ」を考えるには、これから失われていくもの、少なくなっていくもの、その中に、”幸せ”についての答えが出てくるのかな、と僕は思っています。



ニソクノワラジ

『働きながら、自分の生き方、居場所を模索する方々に、勇気をー。』 仕事をしながらでも、創り、表現をして、アイデンティティを世の中に発信し続ける複業クリエイターやアーティスト達。仕事をしながらでも、自分の居場所を見つけるために、日常の中で模索する社会人たち。ニソクノワラジは、仕事と創作活動、表現活動の両立に悩んでいる方などに 「仕事をしながらでも自分の居場所は作れるというメッセージを伝えます。

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