パラレルキャリアという選択肢を知らずに会社の中で腐っているのはもったいないーen Factory 松岡永里子×パラレルキャリア研究所 高村エリナ 特別対談 前編

副業解禁の風潮も高まり、社員のパラレルワークを認める会社も続々登場している昨今。

ECサイトやオウンドメディア事業を手掛ける株式会社en Factoryでは「専業禁止」の理念を掲げている。

さらに同社では、従業員の副業活動を可視化し、さらにメリットを享受できる企業向けプラットフォーム『副業特区』をリリース。世の中の副業解禁ブームを後押しする取り組みをしている。

そこで、医療系出版社に勤務しつつ、サラリーマンのパラレルキャリアをテーマに様々なイベントを手掛ける「パラレルキャリア研究所」代表の高村エリナさんと、en Factoryの広報を担当し、自身も女性向けオウンドメディアで編集者を務める松岡永里子さんの対談を企画。

対談では、パラレルキャリアをすることによって得られたメリットから、女性ならではキャリアの悩み。そして、en Factoryが『副業特区』を今の世の中にリリースした意義。

今回はその対談の前編をお送りする。


パラレルキャリアで色々な人と関わると、「今の会社って、いいところ多いじゃん」って再認識することができたんですよね。「今の会社、ここがイケてる」って(笑)ー高村


本業とは別に、自分の居場所なり足場があると、日々の業務も安定するんだな、って発見がありましたね。ー松岡


高村エリナさん(以下敬称略) 私はen Factoryさんの「専業禁止」っていう理念がめちゃめちゃいいな、って思ってて。複業するのって、不確実な今の時代に、もはや人として自然なことだと思うんですよね。学校に通っている時だって部活があったし、社会人になってもお稽古ごとや趣味の活動をしている人だってたくさんいる。人間が24時間ひとつのことだけしているのって不自然なはずなのに、世の中がそれを禁止する風潮でしたよね。みんなフラストレーションが溜まっていると思うんですよ(笑)en Factoryさんのように、専業禁止くらいの世の中の方が、働く人の心は健康になるし、生産性も上がるんじゃないかな、って。

高村エリナ
「パラレルキャリア研究所」代表。医療系出版社で編集者として働きつつ、パラレルキャリア研究所で複業を推進するための企画を実施している。主なイベントに、お酒を飲みながらパラレルキャリアのヒントを見つけるトークイベント「パラキャリ酒場」やフリーランスや経営に興味がある人に向けたスキルアップ講座「ゼロイチ予備校」、都心のビジネスマンと地方を繋ぐ「秘境PR部」などがある。


松岡永里子さん(以下敬称略) 副業ってまだまだ小遣い稼ぎっていうイメージが強いんですよね。隠れてコソコソ、みたいなイメージが先行してしまってますよね。でも、決してそうではなくて、複業は学びの一種でもあると思うんです。パラレルワークは実践的かつ自分ごととして捉えられるから、研修での学びよりも影響があるし、再現性もある。それにパラレルワークで得た経験や学びが自然と本業にも還元されているな、って感じています。

私自身、以前は仕事はひとつだけ、が当たり前のことだと思っていたんです。ボランティアとかもハードルが高いし、仕事は仕事と割り切って、楽しかったらラッキー!くらいの考え方でした。

高村さんはなぜ、パラレルワークを始めたんですか?


高村 当時から自分のキャリアは自分で作らなきゃっていう意識を持っていたんですね。もともと編集の仕事がしたくて、大学時代には編集プロダクションに所属もしました。でも、私は新卒で今の会社に入った当初、希望していた編集ではない部署に配属になって。それがすごくショックで(笑)とは言え、第一志望の会社だったし、いきなり転職はしたくなかったんですね。じゃあ、本業はこのまま続けつつ、社外でボランティアをはじめたようって思ったんです。たまたまそんな時に、とあるNPO法人の代表の書籍編集に仕事に巡り合って、電子書籍の出版を手伝うことになったんです。それがパラレルキャリアのはじまりですね。

新卒の時の私のように、「自分はここにいるはずじゃないのに・・・」とか「会社なんて・・・」とか、会社員っていう生き方を、諦めながら選んでいる人もいるんじゃないかな、って思うんです。


松岡 そういうフラストレーションを抱えている会社員って、きっといっぱいいますよね。

松岡永里子
広告代理店での営業、不動産会社での営業サポート・マーケティングの仕事を経て、社員の「専業禁止」を理念に掲げる株式会社en Factoryに入社。同社で広報を担当しつつ、パラレルワークで『ライフストーリーメディア Cue-きっかけは、彼女の生き方。』で編集者を務める。en Factoryがリリースした『副業特区』の営業と広報も担当する。


高村 松岡さんはパラレルワークでオウンドメディアの編集をされてますよね。メディアの複業を選んだのはなぜなんですか?


松岡 en Factoryでの仕事で3年間、オウンドメディアに関わっていたことがあって。その時に、オウンドメディアの業務が自分の中で「できること」になったんですよね。なので、パラレルワークでもオウンドメディアに関わることを選びました。編集という仕事をするのははじめての経験だったんですけど、クライアントと一緒にメディアを作り上げていくのが単純に楽しかったんです。その「仕事が楽しい」っていう経験がとても大きかった。でも、3年間やらせてもらっていたオウンドメディアがなくなるかもしれない、ってなって。それを告げられた時にすごく不安になったんですよね。誰かのために働いている、という気持ちがモチベーションになっていましたし、それが手元からなくなってしまうのが怖かった。そんな時に女性向けメディアの編集者の業務委託の求人を見つけたんです。そこで手をあげたのがきっかけ。

高村さんがパラレルキャリアをテーマにしたのはなぜなんですか?キャリアだったら、他にもいろいろテーマがありますよね。


高村 最初にたまたまパラレルキャリアをテーマにしたイベントをやってみたら、めちゃめちゃ評判が良くて(笑)その時まではパラレルキャリアに自分を捧げようとかは全然思っていなかったんです。自分が会社外にも軸足を持つ経験の中で、無料の研修のような感覚で自分のスキルが磨かれるし、それに会社の外にも居場所があるなって思えて、パラレルキャリアの良さを感じてはいたんですが。若い時って隣の芝が青く見えるというか、不安になりがちじゃないですか(笑)私の中にもベンチャー企業へのコンプレックスがあって。


松岡 コンプレックスですか。


高村 ベンチャー企業は若手社員も管理職として活躍していたり、新しいことにチャレンジしているのを見ると、「私って成長スピードが遅んじゃないか」とか「自分だけ取り残されているんじゃないか」って怖かったんです。でも、パラレルキャリアで色々な人と関わると、「今の会社って、いいところ多いじゃん」って再認識することができたんですよね。「今の会社、ここがイケてる」って(笑)自社の強みや社風の良さを、客観視できたんですよ。


松岡 そんな気づきが!


高村 2018年の7月にパラレルキャリア研究所の第一弾となるイベントを開いたら、参加された方が感動してくれて。「人生変わった!」とか「本当に今日のイベントに来てよかった!」っていう声をもらえたんです。私にとって、パラレルワークとか、社外で活動することは普通だったので、そういう反応があったのは私の中で驚きと感動がありました。パラレルキャリアは今すぐにでも実践できることだって、みんな意外と知らないんですよね。私は会社員全員がパラレルキャリアをやればいい、とは思わないんですけど、パラレルキャリアっていう選択肢を知らないまま会社の中で一人腐っているのはもったいないな、って感じて。「よし!私はこれを広める活動をしよう!」ってなったんです。


松岡 そんな経緯があったんですね。私自身も2年くらい前からマネジメントの仕事を任されるようになって、本業ではチームが一番で自分のことは最後、ていう優先順位で働いていたんです。そうすると、「自分は本当はこれをやりたいんだけどな~」って気持ちがぼんやり出てくるようになって。それを解決するのがパラレルワークだったんです。私自身、撮影だったり、ライティングだったり、本当は手を動かしたい方なんです。それを今の立場でやってしまうとチームが回らなくなるので、自分で複業としてやっている、という感じですね。複業があるとメンタルが安定するんですよね。やることは多くなってしまいますけど、本業に左右されていた気持ちの波がなくなりますし、自分が思ってもみなかったとこで評価されたりもする。本業とは別に、自分の居場所なり足場があると、日々の業務も安定するんだな、って発見がありましたね。


複業をすることによって、周りの友人と自分を単純に比較する必要はないな、って思うことができましたね。ー松岡


自分はいつまでも自分だし、仮に会社の肩書が無くなっても、家庭を持たなくても、「自分は自分だな」って気持ちを持てましたね。ー高村


高村 私、以前は結婚と出産ってフルタイムの仕事を諦めないとできないことだと思っていて。私は仕事で活躍したいという気持ちが大きいので、結婚とか出産によってキャリアが中断したらどうしよう、っていう不安があったんです。でも、本業も複業も順調だと、結婚によって何かが失われるわけじゃなさそうだな、って前向きに思えるようになりました。


松岡 私は結婚しても仕事は続けていきたいな、っていうぼんやりとした希望は持っていますね。周囲の友人の結婚とか出産とか、自分のコミュニティ内で子どもがいる率とか考えると、「もしかして私って、遅れちゃってる・・・?」ってちょっと不安になる気持ちもゼロじゃなくて。でも、複業をすることによって、周りの友人と自分を単純に比較する必要はないな、って思うことができましたね。ただただ本業だけに注力していたら、仮に出産、結婚を経験している人と比べた時にマイナスに比較しちゃってたと思うんです。


高村 あー!それわかりますー!


松岡 でも複業をしていると周りのキャリアや生き方と単純に比較しなくてもいいかーって、吹っ切れることができたんですよね(笑)「私の可能性はゼロじゃないんだ!」ってポジティブな考え方になりました。もし、20代後半に結婚して、子供を産んでいたら、複業ができていなかったかもしれないし、生き方は人それぞれだし、比較しなくてもいいのかな、って。闇を早く抜け出した感はありますね(笑)


高村 闇落ちしますよねー!特に20代後半の女子は!(笑)


松岡 (笑)複業が意図しないところで、周囲との比較の目を逸らしてくれましたね。


高村 私も複業が自分のアイデンティティになっていますね。会社員の肩書きだけだと、興味を持ってもらえることは少ないけど、パラレルキャリアで個人の名刺ができた途端に自分のパーソナリティにスポットライトが当たって引き合いが増えました。私の場合は、それがメンタルの安定にも繋がりましたね。以前は女性としてのキャリアを考えた時に、仕事を捨てるのか家庭を捨てるのか、みたいに二者択一で考えていたんですよね。でも、自分はいつまでも自分だし、仮に会社の肩書が無くなっても、家庭を持たなくても、「自分は自分だな」って気持ちを持てましたね。


松岡 自分のアイデンティティを保てるのは、複業をする大きなメリットですよね。


後編へ続く。

ニソクノワラジ

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