自分が過去、何に喜びを感じていたのか振り返ってみる。それが未来に繋がっていく。ー和田康彦(webディレクター/パーソナルトレーナー)

今回インタビューを行ったのは、本業ではWebディレクターをしながら、パラレルキャリアでパーソナルトレーナーとしても活躍する和田康彦さん。


小学校時代からスポーツ少年だったという和田さん。

和田さんが『健康運動実践指導者』という資格を取得し、パーソナルトレーナーになったきっかけは、お子さんの運動会で起こった、「ショックな出来事」がきっかけだったんだとか。

その後、なぜ和田さんは、「運動」をするために、大手ジムに通う、というようなセオリーではなく、あえて”資格取得”という道を選んだのでしょうか。

実は、そこに和田さんが持つ、「ある信念」があったんです。


<Profile>

和田康彦

1985年生まれ。2008年に明治学院大学法学部を卒業後、都内出版社に入社。WebディレクターとしてHP制作および350以上のHPを運用しているサーバの管理、システム開発を行う。本業の傍ら、『健康運動実践指導者』の資格を取得し、トレーナーの道へ。現在はパーソナルトレーナーとして1対1または1対複数のトレーニングや、オンラインでのトレーニングセミナー、ランニング指導を行う。


メニュー通りに運動も食事制限もしてシェイプアップするよりは、「納得感」を持って自分で運動ができるようになろう、と。


ー和田さんは小学校、高校、そして大学とサッカーを続けて、社会人になってからもフットサルチームに参加されていたそうですね。でも、ご結婚、子育てなどのライフステージの変化を機に、なかなか運動する時間取れなくなってしまった、と。

ええ。そうなんです。私は結婚が24歳で、25歳の時にはすでに子どもがいたんですね。しかも当時は多忙な部署に所属していて、北は北海道、南は沖縄まで毎日のように出張する日々でした。だから平日に子育てに参加できない代わりに、土日にみっちり子育てに関わるようにしていたので、必然的に時間がなくて。それに、一緒にフットサルをやっていたメンバーも、結婚や転勤などで、時間が合わなくなったり、会えなくなったり・・・。だから、自然とフットサルに参加する機会がなくなっていたんですよね。


ー仕事もプライベートも充実しているけど、どこかで運動をしたい!という気持ちがあったのでしょうか?

そうですね。やっぱり運動は好きなので。

あと、子どもが幼稚園になったら、パパが参加するリレーがあったりするじゃないですか。それに参加した時に、漫画のようにコケちゃって(笑)ぐるぐるぐるーって(笑)


ー学生時代に運動ができたお父さんの”あるある”として、よく聞きますよね(笑)それはやっぱり和田さんにとってもショックだったんですか?

相当なショックでしたね(笑)運動や健康はあって当然のものだっていう意識がありましたし、私はサッカーをやってきたんですけど、自分はサッカー以外のスポーツもこなせると勝手に思っていて。そういう自負があったからこそ、公衆の面前で派手に転ぶのは、私にとってショッキングな出来事でした。

その時に、脳の中でイメージしている自分の身体と、今の現実の自分の身体で、意識の乖離が起きていると感じたんです。「これはやばい。なんとかしなきゃ」って思いました。


ーなるほど。そこで、『健康運動実践指導者』という”資格”、を取得することになったのはなぜなんでしょうか?

さっきの運動会での出来事もきっかけですけど、社内にいることが多い部署に異動してから太ってきていたので、まずは体をどうにかしたかったんです。大手スポーツジムに通おうかな、とも考えたんですけど、それよりは運動とか健康の知識を習得して、自分で考えて運動ができるようになりたいな、と思って。それで、健康と運動の資格がないかな、と探した時に『健康運動実践指導者』を見つけたんです。


ー平日忙しいサラリーマンだったら、それこそ大手スポーツジムでパーソナルトレーナーをつけて運動するのが普通だと思うんですが、なぜ和田さんはまずは知識取得、という方向に進んだのでしょうか?

ジムも資格も結局は同じくらいお金を払うんですよね。だったら、ジムで漠然とトレーナーの指示のもとで、メニュー通りに運動も食事制限もしてシェイプアップするよりは、「納得感」を持って自分で運動ができるようになろう、と。「なんでこの運動がいいんだろう」「なんでこの食事メニューなんだろう」ろか、その理由を考えないまま、ただ指示だけで続けていくと、結果が出てもリバウンドしちゃったり。結局は自分の経験値にはならないのかな、って思ったんです。


ー自分で考えて、納得して体を作りたかったんですね。

そうですね。でも、最初は自己満足に近かったんですけど。

私は仕事でも「なんでこれをやらなきゃいけないんだろう」って常に考えるタイプで。運動でも「なんでスクワットがダイエットや体づくりにいいんだろう」とか、ちゃんと自分で効果を理論的に理解して、意識し続けたいんですよね。


ー『健康運動実践指導者』の資格の講座を受講するようになって、和田さんの中で変化したことはありますか?

筋肉は正しい動作で負荷を与えれば、素直に育つ楽しみと喜びを知りましたね。あと、講義でとある先生が「死んでもいいから健康になりたい」って話があると言っていて。


ー「死んでもいい」ですか!それはなかなかインパクトがありますね。

そう。インパクトがありました。健康と死って本来は相反するものじゃないですか。その先生は、「健康って健康なときは当たり前にあってありがたみを感じないものだけど、いざ病気になったりケガをして失ってしまうと、その大事さを至るほど感じて、健康だった自分を取り戻せるのであれば死んでもいいってくらい大事なものだと気づく。それくらい大事で唯一なものなんです」って意味で言っていたんですけど「確かにそうだな」って思って。今、健康だからこそ、仕事もできるし、好きな筋トレもスポーツもできる。健康がベースにあるからこそ、できていることがあるんだな、って改めて気づかされて。やっぱり当たり前にできていたことができなくなるのはショックだったので、健康も今現在、当たり前のようにあるけど、心の底から「大事にしなきゃいけないな」と感じましたね。


ーそこから「健康の大事さ」を伝えるために、「自己満足」の域から、トレーナーとして「他人に教える」という領域まで進出したんですね。やっぱり先ほどの言葉がターニングポイントだったんでしょうか?

そうですね。やっぱり、その言葉がポイントにはなっていますね。それに、筋肉を鍛える方法とかって、ネットなり本なり、色々なコンテンツがありますよね。でも、実際は医学的に正しいのもあるけど、そうでないものも多くて。大げさに書いていたり、エビデンスがないまま掲載されていたり。私はそれを正していきたいんです。だから、自分からの発信も必要だな、と。


ーそもそも『健康運動実践指導者』の資格を持っていたら、人に教えてOK!ということなんでしょうか?

実はトレーナーが持っていなきゃいけない資格とか免許ってないんです。


ーええ!そうなんですか!?

ええ。実は。特に資格や免許を持っていない人が「今日からトレーナーやります!」でできてしまうものんですね。その中でもやっぱり元アスリートとか実績のある人が、「トレーナーをやりますよ」ってなったら、もちろん人が集まりますよね。だから、そういう人たちと同じ土俵で戦うために、何かしら色々な資格を取ってアピールするんです。『健康運動実践指導者』もその内のひとつですね。


ートレーナーに付加価値を付けるための資格でもあるんですね。実は、和田さんが『健康運動実践指導者』の資格を取るのに”ある裏技”を使ったとお聞きしたんですけど、これってお聞きしても大丈夫ですか・・・?

裏技といっても、法律に引っかかるようなことはしてないんで大丈夫です(笑)運動系の資格を取るには、結構色々な条件があるんです。例えば『健康運動実践指導者』だと、トレーナー歴が3年以上ないとダメ、体育会系の大学出身じゃないとダメ、教員免許を持っていないとダメ、だとか、結構越えるべきハードルが多いんです。私も受験条件を満たしていなくて。でも、ある時、受験資格の一覧を見ていたら、比較的ハードルが低くて、仕事をしながらでも取得できる資格を見つけたんです。それが『運動普及推進委員』という資格で、市とか区の自治体がやっている講義を受講すれば誰でも取れるような資格なんですね。


ーつまり『運動普及推進委員』の資格を取得していれば、『健康運動実践指導者』の受験資格も満たすことになる、ということですね。

その通りです。自治体がやっている運動イベントやウォーキング大会をサポートする資格なんですけど、受験生の9割くらいはおじいちゃんおばあちゃんで(笑)その中にひとり混ざって受験しました。会社員のまま取得できる資格をまず取って、会社員だけだと取れない資格を取得した、という感じですね。やっぱり、資格を取れないことで諦めちゃう方は多いみたいで。それくらい運動系の資格は資格条件が厳しくて狭き門なんです。でも、私の場合はそこで諦めずに、自分で調べて、地道にステップアップしていく道を選びました。最初は漠然としていましたけど、知識を習得したい、資格を取りたい、という気持ちは元から強かったんだと思いますね。


パラレルキャリアが自分の存在意義になって、ぶつかってもいいという気持ちで、本業でも自分の責任で物事を進められるようになりましたね。


ー和田さんはパラレルキャリアをすることで、本業にはどんな影響がありましたか?

パラレルキャリアが自信になりましたね。前の出張が多かった部署に在籍していた時、逐一上司に確認を仰いでいたんですね。今思うと、自分がどうしたいのか考える前に確認をしていた気がします。仕事上でも「まあ、上司に確認すればいっか」で過ごしていたところも、「自分はこうしたいと思うから、こうしましょう!」って言えるようになりました。ある意味、開き直りにも繋がっているのかな。パラレルキャリアがもうひとつの自分の存在意義になったことで、たとえ上司とぶつかってでも自分の意見を言えるようになったり、本業でも自分の責任で物事を進められるようになりましたね。開き直りがいい意味で作用しました。自分の手札が増えて、色々なカードを切れるような感じですね。


ー本業が忙しいことで、自分が好きだったことを見失っている方もいますよね。例えば、昔は部活に熱中してたけど、今は細々走ったりするくらいで、このまま普通の会社員と子育てして歳を取るのかな、って漠然と思っていたりとか。

そういう方もやっぱり多いですよね。僕の場合は子育ても早かったんで、47歳になった時には、子どもふたりが20歳になるんです。そうすると、今までは家族のために働いていたけど、その「家族のため」がなくなると、虚無感を感じてしまうんじゃないか、って不安はありましたね。今は「人生100年」と言われる時代です。だから、定年退職をした後でも熱中できるもの。つまり、なにかしらの”武器”を用意しておきたい、とは思っていました。


ーその”武器”が和田さんにとっては、昔、熱中していた”スポーツ”であり、”運動”だったわけですね。

はい。私の場合はシンプルでしたね。未来を作っているのは自分の”過去”や”今”だと思うので、自分が過去、何をやってきて、何に喜びを感じていたのか、って人生を振り返ってみると、それが結果的に、未来に繋がることもあるんじゃないか、と。


ーパラレルキャリアで、どんなところにやりがいを感じていますか?

相談してくる人によって達成したい目標や目的は様々なんですけど、それに向かって一緒に切磋琢磨して、達成できた時には大きな喜びを感じますね。

あとは、自分がやりたい事業や業界で知り合った仲間はホントに刺激になりますし、財産になります。パラレルキャリアをすることによって、本業だけじゃ絶対に知り得ていない人。レアな人たちと出会うことができましたね。


ーパラレルキャリアによって、”新しい世界が開ける”という感じでしょうか?

まさにそうですね。パラレルキャリアは、今まで出会えなかった人に出会える。そこに新しい世界への突破口があるんだと思います。

パラレルキャリアを通して仲良くなった方で、現役のスポーツ選手がいるんですけど、スポーツ界の知らなかった話を聞かせてくださって。

例えば、プロのスポーツ選手にはセカンドキャリアに悩んでいる方が多いんだそうで。現役じゃなくなれば、収入がぱたっと無くなってしまうんですよね。テレビの解説者や講師で稼げる人って本当に一握りらしいんです。そういったトップまで行けなかった方は、将来についても悩みを抱えていて。

そこで、知り合ったスポーツ選手の方と私で、プロスポーツ選手のセカンドキャリアに関する事業をしよう、って話になったんです。


ーそれは素晴らしい取り組みですね。

まだ全然形にはできていないんですけど、困りごとを解決できたらいいな、って。

将来的には健康経営エキスパートアドバイザーを取得し、企業向けの健康経営やホワイト500の取得支援など、B to Bにも力を入れていきたい。これが実現できると、本業に回帰できる点も出てくるんです。本業とパラレルキャリアのシナジーで新規事業!なんてこともと考えています。まだまだ、僕の新しい世界への挑戦は続きますね。

ニソクノワラジ

『すべての"生きづらい"を、生きる力に変えるWebメディア』 ニソクノワラジは、様々な"生きづらさ"に悩む人々に、前向きな力を与えるウェブメディアです。今日の複雑化した社会では、仕事と私生活の両立、自分らしさの探求など、多くの人が様々な課題に直面しています。このメディアは、そうした"生きづらさ"と向き合い、それを"生きる力"に変えていくことを目指しています。

0コメント

  • 1000 / 1000